【創作】架

疲れたら逃げて良い
無理だけはするなと言ってくれた親友は眠りの中

私の目の前には、
非常口マークが見える

使って、良いんだろうか
この非常口。

私には、
非常口を使う資格も無いのかもしれない
だって、愛されたい人に愛されているから

けれども、
非常口を使ってみた
頑張って、使ってみた
周りは毒で溢れていたから
苦しくて、苦しくて、堪らなかったから

非常口の階段を、降りてみる
とっても良い気分だった
こういう時の為に、非常口はある!

抜けた場所はお花畑だった
嗚咽しながら泣いてしまった
嫌いになりそうだったものが、あまりにも綺麗で。
嫌いになりたくないものが、嫌いにもなりそうで。
ついさっきまで辛過ぎたんだ

なのに今見える景色は、今は、こんなにも美しい
今は、私の横で、華やかな蝶となり私の頬に止まる
私は死んでいた

吸い込んだ毒、頭から離れない言葉
気持ち悪いフラッシュバック

天国で、風は吹いていた。
それは当たり前の事なのに、
何故かありがとうって思った
何故か懐かしくもあった
前世で一度死んだ際、天国で見た景色と同じでそれと重なったのかもしれない
2度目の天国では、カクテルでも呑もうか
ここではお酒だって出てきそうな気がする
とっても体が軽くって、
悩みが溶けて消えていく
現世でもそうだったら良かったのに
けれど、悩みの数だけ脳みそのシワが増えたんだって
神様に言われたよ
人を傷付ける人の脳みそは、つるつるてんで
高く売れないんだってさ。闇商売か
神様も闇商売やってるんだ へえ~
会見で謝らなくて良いから楽そうだね
ごめんね、皮肉だな自分おばあちゃんなのに。

助言をくれた親友は、
私の足元のお花畑でスヤスヤと眠っているよ

もうおばあちゃんなのにさ、
出逢ったあの頃みたい
あの頃はまだ、ちゃん付けで呼びあっていたね
制服着てさ、お手手繋いでさ、
何気ない事で爆笑して、
マックポテトのLサイズを、2人で分け合ってた
なんだか全て、嬉しかった

老けて、白く少なった親友の髪を撫でると、
親友はえへへと笑っていた うふふとも踊っていた
やっぱりおばあちゃんになって良かった
こんなにも可愛いから。

な~んだ、
出逢ったあの頃よりも、
幼くなってるじゃないか、お互いに。

遠くの方には、貴方が見える

さあ、貴方と2回目の結婚式を挙げよう
少し早めに到着したゲスト達が、
私達を祝福してくれているよ
お待たせしたね

空には虹が架かる
雨も降っていなかったのに